株式会社武蔵野 小山昇社長の著書 〜「儲かる仕組み」をつくりなさい 落ちこぼれ企業が「勝ち残る」ために〜の中で、株式会社 武蔵野様でのサンクスカードの取り組みが紹介されています。 株式会社武蔵野様がサンクスカードを始められた目的や、その効果についてお話しされています。 上司と部下のコミュニケーションを活発化するために始めた仕組みでしたが、すぐにその垣根はなくなり、社内全体に浸透したようです。
以下本文引用)
通常、新しい部長が来たとなれば現場の社員は身構えます。「良く思われたい」と考えたりして、悪いこと、自分に不利になるようなことはいわない。それは人間としてむしろ当然です。 しかし本書103ページ「クレームを発生させた人を追及してはならない」でも述べたように、 社長としては悪いこと、困ったことこそ一番に挙げてもらわなくては困る。
良いことだけでなく悪いことも挙げてもらうためには、上の立場にある人間が下に降りていって円滑なコミュニケーションを取る以外にはない。つまり、それこそ「現場100回」のような仕組みが必要です。
職責上位者と現場の部下とのコミュニケーションをさらに良いものにする目的でつくった仕組みが「サンクスカード」です。これは感謝の言葉を名刺大の紙に書いて、部下や同僚、上司やビジネスパートナーに渡すものです。
「三原啓くん、成果を上げてくれてありがとう」「大幅 典子さん、忙しいときに手伝いをしてくれてありがとう」という具合です。
その効果は素晴らしいものでした。素直に「ありがとう」といえる雰囲気が社内に生まれ、上下間はもちろん、横のコミュニケーションも飛躍的に円滑になったのです。当初のサンクスカードは上司が部下に渡していましたが、すぐにそんな垣根もなくなりました。いまでは部下から上司へ、あるいは同僚同士でという具合に、職責に関係なく活用されており、月にならすと7,000枚ものサンクスカードが社内を飛び交うようになりました。わが社の社員は360名ですから、一名あたり月に20枚のサンクスカードを書いている計算になります。
サンクスカードは、何もしなくては渡せませんし、もらえません。何らかのアクションと努力は必ず必要です。したがってサンクスカードを定期的に集計すれば、「だれが、だれをどれだけ励ましているのか」「だれが誉められているのか」が計量化できるわけです。そこで年に一度の上期政策勉強会の席上で、「この一年間で一番多くサンクスカードを書いた人」「一番多くサンクスカードをもらった人」を表彰することにしました。昨2004年度の「書いた人第一位」は山路浪子、「もらった人第一位」は小林舞美でした。
また、課長の中にはサンクスカードを部下のモチベーションを向上させるためのツールとして利用している者もいます。部下が優秀な成績を挙げると、私にその旨をEメールで送ってくるのです。そういう報告を受けると私は必ずサンクスカードを葉書に貼って、その部下の元に郵送すると彼らは知っているからです。 おかげで私はいつも嬉しい悲鳴を上げながらサンクスカードを書いています。このようにして社長をこき使うのは、メリーメイド事業部の芝原宏明、第三支店長の佐々木大志です。引用以上)
小山昇『「儲かる仕組み」をつくりなさい 落ちこぼれ企業が「勝ち残る」ために』
河出書房新社 (2005/8/9)
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